伸寿記念クリニック(仮)

白血球数異常

白血球数の異常を健康診断に指摘され、医療機関受診を勧められたご経験のある方もいらっしゃると思います。

白血球の数の異常は日頃からよく遭遇する健診異常の一つです。

ちなみに正常値は3100~8400/μLの範囲です。

この範囲を逸脱すると異常として健診で指摘されます。

再検査で問題は無いとされるケースが多いのですが、中には血液の病気であったり、その他の思いもよらぬ病気が隠れていることがありますので注意が必要です。

ここでは白血球の数に異常があった際に考えるべきことをわかりやすい言葉で説明していきます。

「白血球」にはさまざまな種類がある

血液の中には白血球、赤血球、血小板の3種類の血球が含まれています。

一般にバイ菌と戦うと説明される白血球には実は色々な種類があることをご存知でしょうか?

白血球には、好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球の5種類があり、それぞれ異なる役割が与えられています。

まず、白血球の働きとして最も知られている「バイ菌と戦う」という役目を果たしているのは好中球と呼ばれる血球です。

好中球は、細菌や真菌などの病原菌を食べて殺菌します。

リンパ球はウイルスに感染した細胞やがん細胞などを異物と認識して攻撃します。

単球は、血液中から出て組織内に入るとマクロファージという細胞に変身し、組織中の異物を処理します。

好酸球は、アレルギーや寄生虫の感染などに反応します。

好塩基球は、即時型のアレルギー反応に関与します。

このようにひとえに白血球と言っても、実際には白血球はさまざまな役割を果たす細胞の集合体なのです。

白血球の数に異常がある場合、このうち、どの細胞集団が増えたり減ったりしているかを見極める必要があります。

白血球数が増加している場合

白血球数が増加している場合をすべて列挙すると分厚い教科書のような記事になってしまいますので、ここでは代表的なものをいくつか取り上げておくにとどめますが、まずはじめに、白血球数が増加している場合には、細菌による感染症や体内に何らかの炎症があるかもしれないと疑います。

そうであれば感染症や炎症がおさまると、白血球数は正常値に戻ります。

喫煙者でも白血球数の増加がみられますが、これはタバコの煙によって気道や気管支といった空気の通り道に慢性的な炎症がおきているからと考えられ、実際、禁煙することで白血球は正常値に戻っていきます。

しかしながら、中には骨髄増殖性疾患や白血病といった血液疾患のケースが含まれていますので、入念に診察を行います。

さらに、例えば白血球の中でも特に好酸球が増加しているようなケースではアレルギーを疑ったり、寄生虫への感染症を疑ったりします。

このように、白血球が増加している場合には、どの種類の白血球が増加しているのかを見極めることが重要なのです。

白血球数が減少している場合

白血球が減少する病気や状態も数えればキリがないほどたくさんあります。

例えば、ウイルスなどの感染症で一時的に白血球が減少する場合があります。

また、甲状腺機能亢進症(バセドウ病)の治療に用いられるメルカゾールというお薬などに代表されるお薬の副作用としての薬剤性白血球減少もしばしば見受けられます。

また、鉄分が不足すると貧血だけではなく、白血球も減少する事があります。

こういった状況がいずれも無い場合には、白血球減少の背景として骨髄異形成症候群などの血液自体の病気が潜んでいる場合もありますので、血液を顕微鏡で覗いてみて白血球の形に異常が無いかどうか調べたり、骨髄検査をしたりする必要が出てきます。

異常を指摘された場合は受診しましょう

このように、白血球の数が増えたり減ったりすることは日常的にしばしば遭遇しますし、多くの場合は治療までは必要ありません。

ただし、その中に一定数、より詳しく調べて治療を行う必要がある方がいらっしゃるのもまた事実ですから、健康診断などで採血を行い、白血球の数値が基準値より大きく外れていたり、大きく外れてはいないものの毎年軽度の異常を指摘されているような方は一度医療機関を受診すると良いでしょう。

日々われわれの体を守ってくれている白血球について正しく知り、健康な毎日を過ごしましょう。

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