伸寿記念クリニック(仮)

ぜんそく(喘息、気管支喘息)

空気中を浮遊するアレルギー物質を吸い込んだり、激しい運動をしたり、天候の急な変化などがあると、空気の通り道である気管支(気道)はその状況に応じて刻々と変化します。

例えばアレルギー物質(アレルゲン:例としてダニ、ハウスダスト、花粉、カビ、ペットの毛など)や刺激物質(タバコの煙など)が気道に侵入すると、それを排出しようとして気管支の表面からは粘液が出ます。

これが集まると痰になります。

同時に、気管支の平滑筋という筋肉を収縮させることで気管支を狭くします。

そうすると咳が出ます。

こうして私たちの身体は、アレルゲンを痰と咳によって体の外へ排出し、侵入を防いでいるのです。

仕組み

しかし、私たちの身体にもともと備わったこの防御機構が過剰に反応するようになると常に息苦しく感じ、咳が続くことになります。

咳のきっかけとなる気管支の筋肉の収縮と弛緩は自律神経(交感神経+副交感神経)によって調整されています。

身体がリラックスしている時には副交感神経が優位に働き、気管支の筋肉を収縮させることで気管支は狭くなります。

興奮している時には交感神経が活発になり、気管支の筋肉を弛緩させることで気管支は広がります。

もちろん、気管支が広がりっぱなしでは、アレルゲンや刺激物を含む異物が気管支に侵入しやすくなりますから、基本的に落ち着いている時には副交感神経を働かせて気管支が必要以上に広がるのを抑えています。

逆に、興奮している時(獲物を追ったり、逆に逃げたりする時)には素早く動くために肺に多くの酸素を取り込み、また二酸化炭素を効率よく排出するために交感神経を優位に働かせることで気道を広げるのです。

ですから、この自律神経(交感神経+副交感神経)による気管支の調節作用は肺呼吸をしている生物に備わる基本的なメカニズムと言えます。

食事をして、夜ぐっすり眠る時には身体がリラックスしますよね?

その時には副交感神経が優位に働いているので気道が狭くなります。

「ぜんそく発作」が夜間に多いのはこのためなのです。

ぜんそくになると

さまざまな刺激によって、気道の過剰な反応を繰り返していると、小さなボヤから大きな火事につながり積極的な治療が必要な本格的な「ぜんそく」になっていきます(この過程をリモデリングと呼びます)。

ぜんそくになると、息は吸えるけれど、吸った息を吐けないような息苦しさを感じ、ひどく咳き込みます。

痰は固くなって出しづらい感覚があります。

また、胸に聴診器を当てると息を吐く際にゼイゼイ・ヒューヒューと音が出ているのが聞こえ、気道が狭くなっていることがわかります。

ひどい発作を起こされている方ですと、聴診器無しでも聞こえることもあります。

ぜんそくの治療

ぜんそくの治療の基本は発作の予防です。

過敏に感応している気道の粘膜を落ち着かせるために、ステロイドの吸入を行います。

ステロイドには世間に悪いイメージがあるかもしれませんが、基本的に吸入ステロイド薬は全身には取り込まれないので、安全に使用することができます。

注意点として、吸入ステロイドをした後には口の中に残ったステロイドをうがいで良く洗い流しておいてください。

もし発作が起きてしまった際には、まずは発作に対する治療薬を使います。

これには吸入するタイプや貼るタイプのお薬がありますが、いずれも交感神経を刺激することで気道の筋肉を弛緩させ、気道を広げることで発作を鎮めます。

自宅や出先でまずは手持ちのお薬を使っていただき、もし効果が感じられないようなら急いで医療機関を受診することを強くお勧めします。

子どものぜんそくは、アレルゲンの吸入がきっかけとなって発作が起こることがしばしばですが、体の成長にあわせて空気の通り道である気道も太くなっていきますので、発作の程度は大きくなるにつれて少しずつ弱くなっていくことが一般的です。

逆に大人になってから発症するぜんそくは、明確なアレルゲンを特定できないことが多く、ストレスなどから体調の変化を来たして発症することもありますので、どのようなことが発作の引き金になるのかをよく振り返ってみることが大切になります。

ちょっとしたきっかけで起きるぜんそく発作

体調や天候の変化など、ちょっとしたきっかけで起きるぜんそく発作。

病気というよりは体質に近い部分があります。

ぜんそくを知り、より良いマネージメントを通して、健やかな毎日を楽しみましょう。

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