伸寿記念クリニック(仮)

貧血

「貧血で倒れちゃった」「最近貧血気味なんだよね」という話題は特に女性の方は耳にされるかと思います。

一般的に用いる貧血という言葉と、医療現場で用いる貧血という用語には少し違いがありますが、細かいことはともかく、ここではよくある貧血についてお話ししてみようと思います。

ヒトの血は赤い、イカの血は青い

そもそもヒトの血液は赤い色をしていますよね。

実はこの赤い色を決めているのは血液に含まれている赤血球、さらにその中に含まれるヘモグロビンというタンパク質なのです。

イカやタコ、カブトガニなどの海洋生物には青い血が流れているものがありますが、これはヘモグロビンの代わりにヘモシアニンというタンパク質が流れているからなのです。

さて、こういったタンパク質はどのような働きをしているかと言いますと、吸い込んだ新鮮な空気から酸素を取り出し、全身に送り届ける役割を担っているのです。

貧血は原因を突き止めることが最重要

貧血とは、血液中の赤血球の中にある、このヘモグロビンの濃度が低くなった状態を指します。

貧血がひどくなると立ちくらみがでたり、階段の上り下りで息切れが出たり、場合によってはめまいや頭痛、胸がドキドキしたいするなど様々な症状が出てきます。

貧血の種類によっては食生活を見直すことで改善が期待できる場合もありますが、何より重要なのはその原因を突き止めることです。

よくある話としては、貧血だからと言って漫然と鉄を食品やサプリメント、医薬品としての鉄剤で補充されていて、採血結果だけ見ていると表面上良くなったように思えてはいたけれど、何かおかしいから詳しく調べてみたら、実は胃がんや大腸がんが潜んでいて、そこから少しずつ出血していたのが原因だったということもあります。

貧血があるかどうかは下のまぶたの裏を見ると大体わかります。

通常はまぶたの裏側は細い血管がいっぱい張り巡らされている関係で赤い色をしていますが、貧血になると白っぽくなってきます。

そのような方をみたら採血をして、ヘモグロビンの濃度がどのくらい低くなっているのか確認します。

そして、次にどうしてその方が貧血になってしまっているのかを調べるのです。

貧血は赤血球の収支のバランスが崩れて起きる

赤血球は絶えずヒトの体の中にある骨髄という骨にある血球の工場で作られており、完成した赤血球は血管の中に飛び出てから約120日間せっせと全身を動き回り、酸素の運搬という大事な仕事をしたのち、古くなったら脾臓という場所で壊されるというサイクルを延々と繰り返しています。

赤血球が生み出され、そして壊されるというバランスが崩れると貧血になります。

すなわち、何らかの理由で赤血球が作られなくなってしまったとか、壊されるスピードが早くなりすぎたとか、はたまた出血して血管の外に漏れ出てしまったという状況に陥ると貧血になります。

どの部分に原因があって貧血になっているかを特定するため、採血をしたり、場合によっては骨髄検査や胃カメラ、大腸カメラ、婦人科診察などを受けていただいたりします。

貧血の治療は鉄補充とは限らない

貧血の原因が特定されたら次は治療になります。

治療は貧血の原因に応じて行いますので、本当にさまざまです。

女性であれば生理過多などによる出血が原因で鉄が不足して貧血に陥っていることがわかれば、婦人科受診をお願いすると同時に鉄剤の処方を開始します。

特定のビタミン類が不足していることがわかった場合には補充を行うと同時に、どうして不足しているのかをさらに詳しく診察します。

はたまた骨髄での赤血球の産生に問題があることがわかったり、特殊な理由で赤血球の破壊スピードが著しく早まっているような場合にはその原因究明を遺伝子のレベルで調べていきます。

また、貧血の程度によっては輸血を行うこともあります。

このように貧血の治療はその原因に応じて実にさまざまなのです。

ビタミンCを一緒に摂ることで食事からの鉄吸収がUPする

鉄不足が原因であった場合には鉄分の摂取が欠かせません。

鉄は体内では作ることができませんので、食事またはお薬として取り込むしかありません。

鉄には、「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類があります。

ヘム鉄は、レバーや赤身の肉などの動物性食品に多く含まれています。

一方、非ヘム鉄はほうれん草や海藻などの植物性食品に多く含まれています。

ヘム鉄のほうが体内で効率よく吸収できるため、鉄不足解消には、ヘム鉄が多く含まれる赤身の肉や魚を積極的に食事に取り入れると良いでしょう。

ほうれん草や海藻などに含まれる非ヘム鉄はそのままでは5%未満しか吸収されずとても効率が悪いのですが、ビタミンCを同時に摂取することでその吸収効率を大きく上昇させることができますので、果物なども食事に積極的に取り入れると良いでしょう。

鉄欠乏性貧血の予防や改善は毎日の食事が基本になります。

食品の特徴をおさえて工夫されると良いでしょう。

バランスの取れた食事を心がけましょう

フラフラとしてやる気が出なくなる貧血。周りにうつ病だと思われて医療機関を受診したら貧血だったという話は本当によくあります。

健康診断で貧血を指摘されるようなら医療機関を受診することをお勧めします。

ふらつきを感じたときには、すぐにその場でしゃがんで大きな怪我につながるのを防ぎましょう。

日々の食生活を工夫しながらバランスの取れた食事を心がけ、健康な生活を楽しんでください。

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